江戸時代にタイムスリップ
名古屋市の南東部、緑区に位置する有松は、名古屋駅から名鉄電車に乗って20分ほどのところにあります。
駅からすぐのところにある旧東海道沿いには、江戸時代から続く絞問屋の建物や蔵などが並び、当時の様子をうかがうことができます。
長年にわたるまちなみ保存活動の結果、2016年には、名古屋市内で初の国の重要的建造物群保存地区に指定され、
浮世絵に描かれた風景を今でも見ることができる貴重なまちなみです。
進化を続ける有松・鳴海絞
1608年、江戸幕府尾張藩の命により、池鯉鮒(ちりゅう)宿と鳴海宿の間にまちが作られ、
知多半島の阿久比(あぐい)のまちから移住した人々によって有松はスタートしました。
山間の荒れ地で農業に適さないような土地だったことから、移住した者たちは新たな産業を模索。
ちょうど、名古屋城の築城のために全国各地からさまざまな職人が集まってきており、
九州の豊後地方から来た者が身につけていた絞りに着目。
出身地である知多半島をはじめ、有松周辺には木綿の産地があり、
それに絞染めをして東海道沿いでお土産品として売り出したのがはじまり、と言われています。
今では、手ぬぐいや浴衣に代表される木綿だけでなく、ウールやポリエステル、和紙、皮など、
多彩な素材に絞りが施され、インテリアやファッションなどの分野でも絞りは注目されています。
地元の誇り山車まつり
毎年10月の第1日曜日に開催されている有松天満社の秋季大祭。
有松には、名古屋市の文化財に指定されている3輌の山車(だし)があります。
年に一度のお祭りの日は、朝から夜まで、旧東海道沿いを山車が曳きまわされます。
絞りが施された浴衣をまとった者たちが奏でる優美な音色とともに、精巧なからくり人形が山車の上部で動き回ったり、
山車を担ぐ梶方(かじかた)たちが力を合わせて車切り(しゃぎり:山車を回転させる技)を魅せたり。
まつりの見どころは、数多くあります。
有松の山車まつりの特徴は、見るだけでなく、誰でも山車を曳くことができること。
地元の方々と交流し、一緒に楽しむ機会が、有松にはあります。